書 評   


  東日本大震災の広域な被災実態の把握と復旧にあたって、地理空間情報はその迅速性と豊富な内容、 高い質などで多大の貢献をした。いよいよ本格化する復興はいうに及ばず、今後の国土マネジメントや市民生活の質の向上などに対してより 高度な地理空間情報の活用が待望されている。
 新たな地理空間情報活用推進基本計画でもそれを求めている。地理空間情報コンサルタントはこのような社会のニーズに応えていかなければならない。
  本書は地理空間情報の技術商品の単なる紹介をねらいとしたものではない。
取り上げた技術商品の開発における問題や課題が何であったか、それらをどのように解決したかについてのプロセスを紹介することで、 コンサルタントの基本能力である「問題発見力」と「解決力」を養成できるように企画されたものである。
 全体は7章で構成され、第1章「問題発見・解決力とは」と第2章「技術商品の選定」は導入部である。第3章から第7章は「測る」、「調べる」、「見せる」、「伝える」、「測る〜伝えるまでの複合」に大別して32の技術商品事例を挙げて、問題発見から解決までのプロセスを解説している。執筆者が地理空間情報コンサルタントとして第一線で活躍している技術者であるだけに具体的でわかりやすい。「各節編集担当者からのコメント」欄を設けているのも新鮮で、コメントも的を射ている。
  スペーシャリストの会が2010年に出版した「地理空間情報コンサルタントへの道」と併せて読めば本書の理解が一層深まるであろう。                                                                     

                                                      (坂本 荘太郎)      


【 月 刊 「測 量」 8月号より 】 
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